それにしても、エクステ、めっちゃかっこいかった。
「ヒビキ。あいつ一度、コロしてくれない」
「いいんですか? 社長」
「じゃんじゃんコロして」
「じゃ、遠慮なく。これで、今月二人目になります」
「あれ? そうだった? もう一人は誰?」
「会長です。うちの引き籠り、ヤッチャってって、先週」
「そうだった? でも、あのカスは常時依頼案件だから」
「そういえば先々月も頼まれました」
「だめじゃなーい。納期守らなきゃ。プロジェクト・リーダー失格だよ。なんてね」
「して、ヤツメをコロした報酬は? 殿」
「うむ。白いエクサスでどうじゃ」
「あの、白いエクサスでございますか?」
「悪い話ではなかろうて、近江屋。もともとうちがお金出して買わせたんだったよね、あの車って」
「御意」
「では、頼んだ。7月末までに納品してね」
「御意」
「冗談はさておき、もうこんな時間。帰ろ。乗っけて行くよ。乗りたいって言ってたよね、ポルポル」
「ホントですか? あー、でも、車置いて帰ると明日メンドーなんで今度にします」
「朝、迎えに行ってあげるよ。トール道だし」
(それは、アナタのトール道よ)か。女バスの川田先生お元気かな。
「どうした? ぼうっとして」
あ、思い出に浸ってしまった。
「いえいえめっそーもない。社長にお迎えされるなんてしたら、スカート履き忘れちゃいそうです」
「あー、それ知ってる。朝、スカート履くの忘れて電車乗るOLの話でしょ?」
「かわいそうですよね。気付いた時のこと考えると」
「ふーん。そういう反応なんだ、最近の若い子は。あたしらのころはバカだねーって感じだったけどね。まあ、そもそも論でヒビキはスカート履かないけど」
社長、少し疲れてるのかな。なんだか背中が曲がって見える。
「じゃあ、気を付けて帰んなよ。スピード出すな。あんたはうちのホープなんだから」
「お疲れ様でした」
「あとよろしくね」
ポルポルか、いいな。飛ばすと気持ちいいんだろうな。
カイシャ誰もいない。いつものことだけど。
「さ、ちゃっちゃと議事録作って帰ろ」
なんだかんだで、結局2時か、帰るのメンドーになっちゃった。顔洗って寝よ。
ありゃりゃ、電動歯ブラシの毛先、広がっちゃってる。替えもなくなったし、お泊りセットそろそろ新しいのと変えなきゃね。
あと替えPとかも用意しとかないと。P一枚で二日間はサスガニ。これでも乙女だから、あたし。